プロローグ:その「惜しい」は、本当に惜しいのか?
「あ〜、今の惜しかったね!」
少年サッカーの現場でよく聞く言葉だよね。でも、ボクの考えは少し違うんだ。
0.5秒の差で追いつかれたなら、それは「惜しい」んじゃなくて「完全に負け」なんだよ。
ディフェンダーが0.5秒で追いつける場所にボールを置いた時点で、そのプレーは失敗。
1cmのズレが、0.5秒の遅れを生み、勝敗を分ける。
今日は、フォワード(FW)のみんなが悩む「チームが攻められている時、下がるべきか?残るべきか?」という問題について、この「1cmの精度」を基準に解説していくよ。
登場人物
- コーチ(ボク): 1cmのボール置く位置にこだわる、ちょっと厳しいけど超論理的なコーチ。
- シュートくん: 点を取るのが大好きな小学5年生のFW。
1. 「残っているだけ」は、ただのサボり?
シュートくん:「コーチ!相談があります。試合中、自分たちのチームがずっと攻められている時、僕は前線に残って相手のDFを2人引き付けています。でも、それだけでいいのか不安になるんです。やっぱり下がって助けるべきですか?」
コーチ:「いい質問だね、シュートくん。結論から言うよ。『2人引き付けている』ことが、0.5秒後に点につながる準備ができているなら正解。でも、ただ立っているだけなら、それは1cmもチームを助けていないよ。』」
シュートくん:「えっ、2人もマークを引き付けているのにですか?」
コーチ:「そう。数字の上ではFW1人 vs DF2人だから、後ろの味方は 7人 vs 8人(8人制の場合)で守っていることになる。一見、役に立っているように見えるよね。でも、もし味方がボールを奪った瞬間、シュートくんが『パスを受けられない位置』にいたらどうなるかな?」
シュートくん:「あ…、またすぐに相手にボールを奪われちゃうかも。」
コーチ:「その通り。君が1cmでも適当な場所に立っているせいで、味方のパスが0.5秒遅れる。その0.5秒の間に、相手のDFは君に追いついてしまうんだ。それは、君がピッチにいないのと同じなんだよ。」
2. 1cmのポジション修正が、相手を恐怖に陥れる
コーチ:「FWが前線に残る本当の意味は、『ボールを奪った瞬間に、相手を絶望させること』にあるんだ。」
シュートくん:「相手を絶望させる…?」
コーチ:「そう。例えば、相手のDF2人のちょうど真ん中に立ってみて。1cm右に寄れば右のDFが気になり、1cm左に寄れば左のDFが食いつく。さらに、『相手DFの背中(視界の外)』に1cm入り込んでごらん。」
シュートくん:「あ、それだとDFは僕とボールを同時に見られなくなりますね!」
コーチ:「正解。そうやって『常に裏を狙っているぞ』というプレッシャーを1cm単位でかけ続けることで、相手のDFは攻撃に参加できなくなる。これが本当の意味での『2人を引き付ける』ということなんだ。」
【今日の重要ポイント】
FWは守備時、「休む」のではなく「次の攻撃で100%勝てる場所」を1cm単位で探し続けるべし。
3. 「0.5秒」を奪い取るための、FWの守備思考
シュートくん:「でも、チームが本当にピンチの時はどうすればいいですか?」
コーチ:「いいかい。もし君が下がって守備をするなら、『ボールを奪った瞬間に、自分が一番良い状態でボールを受けられる位置』までしか下がっちゃいけない。
ゴール前まで戻りすぎて、ボールを奪った時に前線に誰もいない…なんてことになったら、またすぐに相手の攻撃が始まってしまうよね。」
シュートくん:「確かに。それじゃあ、ずっと守りっぱなしになっちゃう。」
コーチ:「だから、ボクはこう考えるんだ。
『FWが前線に残るのは、守備をサボるためじゃない。最短・最速でゴールを奪い、守備の時間を終わらせるためだ』とね。
0.5秒あれば、サッカーでは状況がひっくり返る。
味方がボールを奪いそうな瞬間、君がすでに0.5秒分、相手より先に動き出せていれば、それはもう『惜しい』ではなく『必然のゴール』になるんだよ。」
4. 今日から実行できる!「1cm精度」のカウンター練習
シュートくん、そしてこの記事を読んでいる君に、明日からやってほしい練習を紹介するよ。
① 「1cmバックステップ」の習慣
パスを受ける時、相手DFに背中を向けたまま待っていないかな?
味方がボールを奪いそうな瞬間、後ろに1cmだけ下がって、相手と自分の間にスペースを作ってみて。
この1cmの余裕が、ボールを受けた時の「0.5秒の余裕」を生むんだ。
② 「ゲート」を意識したポジショニング
練習の中で、相手DF2人の間を「ゲート(門)」だと考えてみて。
その門のど真ん中に立つのか、それとも片方のDFの死角に立つのか。
自分の立ち位置が1cmズレるだけで、味方からのパスコースが見えるか見えないか決まるということを意識しよう。
③ 練習メニュー:【2vs2 + ターゲット】
- 小さなコートで2vs2を行う。
- 前線に1人「ターゲット(FW)」を置く。
- 守備側がボールを奪ったら、すぐにターゲットに当てる。
- ターゲット役の選手は、常に「DFの視界から1cm外れる動き」を繰り返すこと。
まとめ:この記事を読むメリット
この記事の内容を意識してプレーすることで、君にはこんな変化が起きるよ。
- 「いつ動けばいいか」が明確になり、カウンターの成功率が激増する。
- ただ立っているだけではない「怖いFW」として、相手から警戒されるようになる。
- 「惜しい」ミスがなくなり、論理的にゴールを量産できるようになる。
1cmのポジショニングにこだわり、0.5秒の差を圧倒的な実力差に変えていこう。
君のその「こだわり」が、チームを救う一撃になるはずだ。
コーチから最後に一言
「ボールが来てから考えるのは、もう遅い。ボールが来る前の1cmの立ち位置で、勝負は決まっているんだよ。」
次にボクができること:
「今回のポジショニングの話をさらに深掘りして、『具体的に相手DFの視界から消えるための3つのステップ』について解説しましょうか?興味があれば教えてね!」
以下はマリノスの試合の実例です。ぜひ参考にしてみてください。DFの視界から少しずつはずれて外れたあとボールを黄色の→のラインでもらいます。
1.赤のFW選手の位置を確認しましょう

2.DFの視界(赤点線)の外にでます

3.相手選手から少し離れてボールを受けるスペースを作ります

4.黄色のパスコースが見えて、なおかつ相手DFとの間十分なスペースができました


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